作家インタビュー

これまでキャリアの中で、特に好きな自作の歌詞

坂本龍一さんの「美貌の青空」(アルバム『スムーチー』/1995年)。それと、坂本龍一さんと一緒に組んだ中谷美紀の曲はだいたい好きかな(中谷美紀のアルバム『食物連鎖』1996年/中谷美紀 with 坂本龍一「砂の果実」1997年など)。あれは、誰も登らなかった山を登ったような感じで、誰もマネできなかったんじゃないかな。

矢沢永吉さんの「SOMEBODY'S NIGHT」(1989年)や「PURE GOLD」(1990年)。それから、もちろんチェッカーズ!それと女性版チェッカーズのつもりで書いていた荻野目洋子さんの一連の歌、初めてプロデューサー的な立場で関わらせてもらえた河合奈保子さんのすべての歌。

ラッツ&スターの「め組のひと」、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳」。稲垣潤一さんの「夏のクラクション」「P.S.抱きしめたい」。これ、切りがないね(笑)。好きな歌はCD BOX 売野雅勇作品集「天国より野蛮」に全部入ってますね(笑)

音楽、言葉を書くことから離れた趣味について

趣味?昔からクルマ好きですね。今はポルシェの4人乗りです。最初のクルマはワーゲンのビートル。次がBMWで、作詞を始めた頃は1964年式のメルセデスに乗ってました。あとは映画ですね。スタイル、匂い、ムードのある映画が好きです。監督だとデヴィッド・リンチ、ジム・ジャームッシュ、ウディ・アレン、アキ・カウリスマキ。

売野雅勇

フィンランドの監督で、だいたいの作品が好きですけど特に『マッチ工場の少女』や、『浮き雲』。それで思い出したけど小津安二郎の『浮草』も大好きですね。90年代前半が最も映画館に通った時期で、映画手帳をつけながら毎年250本見ました。ビデオは含めず、映画館で観た数です。靴を脱いで上がるような20席くらいのミニシアターの会員証も持っていました(微笑)。それだけ観ると、映画のことがやっとわかったって感じがしました。歌舞伎もその魅力を理解するまでに10年かかりましたから。毎月のように歌舞伎座に通って10年です。頭の回転が遅いのにくわえて、しつこい性格なんですね。突き詰めたくなる気持ちを愛と呼んでますけど(笑)。

35周年の集大成としてMax Luxをプロデュース

Max Luxは、35周年のアニヴァーサリー・アーティストとしてデビューさせたロシア出身のコーラス・ユニットです。結成は2013年で、ライブを中心に六本木のライブハウスを拠点に活動していました。「歌がうまい、性格が良い、美貌である」を選考基準に選び抜いたメンバーです。3回メンバーチェンジして現在の構成になりました。コーラスがもともと好きなのでMax Luxはぼくの夢を実現してくれるドリーム・ガールズですね。

2008年に歌舞伎の市川右近さんと演った『虎島キンゴロウショー 魅惑の夜』という1964年の赤坂のグランドキャバレーのバーレスクという設定のミュージカル・ショーがむちゃくちゃ受けて、その時、日本語でJ-POPを歌う美貌の外国人というアイデアを試していたのですが、その発展形です。歴史は長いんです。性格はしつこく歴史は長く(笑)。

Max Lux

それに、芹澤廣明さんの影響も大きいですね。いま芹澤さんはアメリカで仕事をしているんですが、そのプロジェクトは最初ぼくと一緒にやるはずだったんです。「一緒にやろうよ」って誘われて、詞を書くつもりでいたんです。でも1年くらい後で「キング・クリムゾンのメンバーだった作詞家と組むことになったから」って(笑)。「なんだよさびしいなあ」って思って。芹澤さんはぼくの「運命の男」だから、意識せざるを得ないところがあるんですね。むこうが3つ年上だから、尊敬する兄貴のマネをしたがる弟っていう構図かな(笑)。で、彼がアメリカに行くなら、自分も何かしないとマズいなって…。そんなわけで、アメリカのヒットチャート・オリエンテッドで結成したコーラス・ユニットです。日本でヒットさせて、ロシアで、そしてユーロビジョンというヨーロッパの音楽祭で優勝して、「運命の男」とアメリカで当てるのが夢です。

最初はオリジナルの新曲が7曲録音してあったので、プラス3曲を自分の作品のカバーの普通のオリジナルアルバムとして出そうと思ったんですけど、すべてをヒット曲のカバーにしてボーナス・トラックでオリジナル3曲を収録し、「砂の果実」という自分回顧録とシンクロさせた、35周年のトリビュート・アルバムという形で発売しました。

2017年5月10日 東京・代官山にて
インタビュー・構成:高島幹雄

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